膠原病の初期症状 Collagen Symptoms

膠原病「膠原病」という言葉は時々耳にするものの、実際にはどのような疾患なのかご存じない方も多いかもしれません。膠原病とは、ひとつの疾患ではなく、ある特徴を共有する複数の疾患群の総称です。
以前は治療が難しい疾患というイメージがありましたが、近年は医療の進歩により、健康を維持しながら普通の生活を送ることが可能になってきました。

膠原病とは?

膠原病とは、免疫システムの異常により、血管、皮膚、筋肉、関節、内臓など全身の結合組織に炎症が起こる疾患の総称です。代表的な膠原病には、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性硬化症、シェーグレン症候群などがありますが、これらはすべて免疫システムの異常に関連しており、症状の現れ方や影響を受ける臓器が異なるだけ、という違いしかありません。体に不調をもたらす疾患は数多くあり、膠原病であるかどうかをご自身で判断するのは困難です。
以下は、膠原病内科を訪れる患者さんに多く見られる症状の一覧です。これらの症状が当てはまるかどうか、セルフチェックしてみてください。

膠原病の初期症状
(セルフチェック)

主な症状は、個々の疾患によって異なりますが、以下のようなものがあります。

  • 肩、関節、筋肉の痛みが長引いている
  • 起床時に体がこわばったり、痛んだりする
  • 皮膚が赤くなる、発疹が出る
  • 指先が青白くなる、紫色に変色する
  • 指がソーセージのように腫れる
  • 微熱が長引いている
  • 倦怠感が取れない
  • 検査や医療機関から膠原病の可能性を指摘された

膠原病の初期症状は風邪と似ており、日常生活に支障をきたすほどではありません。しかし、症状が進行すると、関節に変形が生じたり、内臓に障害が起こったりして、日常生活に制限を感じるようになります。
いったん障害が進行すると元に戻すことはできないため、早期に発見して進行を食い止めることが重要です。

【疾患別】
膠原病の症状の現れ方

関節リウマチ

関節リウマチは、手や足の指、手首、肩、膝、肘など全身の関節に炎症が起こり、腫れやこわばり、痛みなどが繋がり、放置すると関節の変形にも繋がります。
50代以上の方に多く見られますが、若い頃から関節リウマチになりやすい体質をもっていたと考えられています。

全身性エリテマトーデス(SLE)

全身性エリテマトーデスは、両頬に蝶の形をした赤い発疹が現れることで有名ですが、皮膚、関節、腎臓、神経、心臓、肺、血管など、全身の膠原組織に炎症を引き起こす疾患です。症状には、関節痛、口腔内潰瘍(口内炎)、腎炎、胸膜炎などがあります。症状は悪化と回復を繰り返すのが特徴で、10~30代の女性に多く発症します。

全身性強皮症

全身性強皮症は、皮膚、血管、消化管、心臓や肺、腎臓が硬くなる疾患です。初期症状には、手指のむくみやレイノー現象などの血行障害に加え、不整脈、腎不全、間質性肺線維症など多岐にわたります。30~50代の女性に最も多く発症します。

シェーグレン症候群

シェーグレン症候群では、唾液腺や涙腺などの分泌物を出す腺に慢性の炎症が起こり、唾液や涙の量が極端に減少します。主な症状は口や目の異常な乾燥で、飲み込みにくくなったり、虫歯になりやすくなったり、目のかゆみや充血などの不快な自覚症状があります。30~50代の女性に最も多く発症します。

膠原病で現れる、
手や爪の特徴的な症状

レイノー現象

レイノー現象は、冷たいものや寒気に触れると指先が白くなる症状です。指先の血管が収縮または痙攣し、非常に細くなることで血流が減少し、指先が白くなり、のちに紫色になります。
この際、指先のしびれ、冷感、痛み、感覚低下などの自覚症状が現れることがあります。しばらくすると血管は正常に戻り、血流も正常に戻ります。その結果、手のひらが赤くなることが特徴的な症状です。

爪上皮出血点

爪上皮出血点の症状は、爪の甘皮の部分に黒い出血点が現れることが特徴です。
膠原病では血管の損傷により血流が悪くなることで、細い血管(毛細血管)で出血が起こります。
爪の甘皮は皮膚の中でも薄い部分であるため、ここに出血点が現れるのが爪上皮出血点の特徴的な症状です。
薬指に現れることが最も多いですが、他の指にも現れることがあります。
強皮症や混合性結合組織病の患者さんの70~80%に見られると言われています。

膠原病を疑った場合の当院での診察の流れや特徴・とりくみ

膠原病を疑った場合の当院での診察の流れや特徴・とりくみ膠原病が疑われる場合は、問診や診察により膠原病に特徴的な身体所見の異常がないかを調べます。また、血液検査や尿検査により免疫や炎症に関係する項目の確認や、レントゲンや超音波などの画像検査を行い、内臓などの臓器障害がないかを調べます。これらの結果から異常を総合的に判断し、国際的な診断基準や分類基準に基づいて各疾患の診断を行います。
血液検査の他、レントゲンや超音波検査などの画像診断も可能です。CTスキャンなど、より高度な検査が必要な場合は、近隣の病院と連携して精密検査を行います。

妊娠を希望する場合は
母性内科にご相談を

母性内科膠原病は、妊娠可能な年代の女性がかかりやすい疾患ですが、病状が安定していれば妊娠・出産は可能です。抗リン脂質抗体症候群という膠原病もあり、これは自己抗体が胎盤や胎児を攻撃し、血栓症を引き起こして流産や死産に至ることもあります。
流産を繰り返す場合は、血液をサラサラにして血栓ができにくくするアスピリンやヘパリンを使用しながら妊娠するなどの対策が必要なこともあります。
その場合には内科(できれば母性内科)と産婦人科との連携が必要となります。
当院では母性内科の診療を行っていますので、お気軽にご相談ください。

母性内科について