生活習慣病 Lifestyle

生活習慣病とは

生活習慣病「生活習慣病」という言葉は、不健康な生活習慣(不規則な食生活(過食や偏食)、運動不足、喫煙、過度の飲酒など)によって引き起こされる慢性疾患の総称です。特定の疾患を指すものではなく、「生活習慣病」という疾患名はありません。
以下は、生活習慣病とは無縁の方でも一度は耳にしたことがある代表的な疾患です。

生活習慣病一覧

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 高尿酸血症
  • メタボリックシンドローム

糖尿病

糖尿病ブドウ糖は、体内のすべての細胞のエネルギー源となるため必須の栄養素であり、特に脳はブドウ糖以外のものをエネルギー源として利用することができません。
食事から摂取した炭水化物は消化されてブドウ糖(グルコース)となり、血液中に吸収されます。
血糖値とは、血液中のグルコースの濃度のことを言います。血糖値は一定の範囲内で変動するように、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されることで、140mg/dlを目安にコントロールされています。食後から2時間ほどたつと、血糖値は70-110mg/dl程度まで戻ります。糖尿病は、このインスリンの分泌が不足したり、うまく働かなくなったりすることで、高血糖の状態が続く疾患です。
高血糖の状態が続くと、全身の血管に大きな負担がかかります。その結果、網膜や腎臓、神経などに深刻な障害を引き起こす合併症が発生するほか、動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高める要因となります。
初期には自覚症状がほとんどなく、進行すると、喉の渇き、疲れやすい、体重減少などの症状が現れます。
糖尿病には、1型糖尿病と2型糖尿病があります。

1型糖尿病

自己免疫疾患の一つで膵臓の機能が障害されることで、膵臓がインスリンを作らなくなるタイプの糖尿病です。比較的若い方に発症しやすいですが、緩徐に進行するタイプもあります。ご自身で血糖測定を行っていただきながらインスリンを補う治療を行い、血糖値を厳密に管理します。

2型糖尿病

遺伝的素因に加えて、運動不足や肥満、ストレスなどの生活習慣が要因となって発症する糖尿病です。インスリンの分泌低下または作用不足により発症します。

高血圧

高血圧血圧とは、血管壁に血液がかける圧力のことを言います。心臓が収縮すると血管に多くの血液が流れ込むため血圧が上昇し、心臓が拡張すると血圧が下がります。
血圧は収縮期血圧と拡張期血圧として測定されるため、上下2つの数値が表示されます。血圧は運動、食事、緊張、睡眠、覚醒などの影響を受けて常に大きく変動します。
高血圧とは、一時的に血圧が高くなった状態ではなく、慢性的に血圧が高い状態が続いている状態を指します。高血圧症は、遺伝的素因に加えて塩分の摂りすぎ、肥満、運動不足、喫煙、ストレスなどが原因で起こることが多いと考えられています。
血管の壁に常に大きな負担がかかっている状態が高血圧です。動脈が硬化して柔軟性が失われると、さらに血圧が上昇しやすくなります。高血圧と動脈硬化は相互に悪化させ合いつつ進行することが多く、命を脅かす心臓や脳の疾患にかかるリスクも高まります。

脂質異常症

血液の中には、コレステロールや中性脂肪などの脂質が含まれています。
これらの脂質は体内に必須の成分ですが、過剰になると動脈硬化を進行させたり、血液がドロドロになって血管内にプラークと呼ばれるかたまりを形成し、血管を狭くしたり、詰まらせたりします。
脂質異常症には、コレステロールや中性脂肪が過剰になる高脂血症と、血液中の余分な脂質を除去する善玉コレステロールが不足する疾患も含まれます。脂質異常症は進行しても自覚症状が出ないため、健康診断などで指摘されたら早めに受診し、適切な治療を開始することが大切です。お気軽に当院へご相談ください。

高尿酸血症

主に食べ過ぎや飲み過ぎによって血液中の尿酸値が慢性的に上昇することで引き起こされる疾患です。
尿酸は血液中に尿酸塩の形で存在しますが、尿酸塩が異常に増加すると鋭い結晶となり、関節に蓄積して激しい痛みを伴う痛風発作を引き起こします。
尿酸はプリン体から生成されるため、ビール、魚卵、レバー、かつお、えび、いわし、干ししいたけなどプリン体を多く含む食品の過剰摂取が高尿酸血症に繋がることがあります。
高尿酸血症のまま放すると痛風発作のリスクになるだけでなく、長期になると腎臓の機能が低下するため治療を開始することが大切です。

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドローム「肥満」とは内臓脂肪が溜まった状態を指し、これに「高血圧」「脂質異常症」「高血糖」のうち2つ以上が該当すると、「メタボリックシンドローム」と診断されます。
加えて糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を複数併発しているケースもあり、そうなると動脈硬化に進行するリスクも高くなります。
現在、推定で日本人の男性の20~25%、女性の5~10%がメタボリックシンドロームに該当するとの報告があります。治療では、体重の減少を目指すと同時に、併発する生活習慣病にも適切に対応します。主に食事療法と運動療法を中心に行います。

健康診断や人間ドックで、
生活習慣病を指摘されたら

再検査の判定や要経過観察など様々な判定結果がありますが楽観視して見過ごしていると、数年後に日常生活を大きく制限する治療が必要になるかもしれません。
生活習慣病を放置すると動脈硬化が進み、脳や心臓に重大な障害が出る可能性があるため、健康診断では生活習慣病のチェックが特に厳しく行われています。
将来の健康リスクを減らすだけでなく、生活の質を守るためにも、生活習慣病は早期に適切な治療を受けることが大切です。受診が必要なのか分からないや健診結果内容がよく分からないなどのご相談はオンライン診療をご活用ください。

生活習慣病の予防について

食事について

食事カロリーや塩分、脂肪分を意識した食生活を継続することが大切です。
まずは目標体重を設定し、現在の食事内容や食習慣を見直して、改善すべき点を明確にします。次に、モチベーションを維持できる工夫を取り入れながら、目標達成に向けて取り組んでいきましょう。
ご自身で計画を立てたり、継続したりするのが難しい場合は、お気軽にご相談ください。当院では、それぞれの患者さんに合わせたサポートを行っています。

「1日に必要なカロリー」と「標準体重」は身長によって異なり、以下の計算式で求めることができます。
標準体重=身長(m)×身長(m)×22(BMI
必要カロリー=標準体重×30kcal(※)
(※)の数値は1日の活動量により異なります。

主に座って行う仕事:25~30kcal
接客業や家事など、立ち仕事が多い:30~35kcal
農作業や建築業、外回りなど、体を動かすことが多い:35~40kcal

運動について

運動運動療法によって、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドロームの改善が期待できます。ただし、持病によっては運動制限が必要な場合もありますので、主治医に相談しながら行いましょう。
運動療法は、継続することが大切です。ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動を中心に行っていきます。まずは今までより少しでも運動を増やすことを目標にしてみましょう。

喫煙について

禁煙生活習慣病の治療において、禁煙は不可欠です。喫煙は血圧の上昇や動脈硬化の進行を促し、HDLコレステロールを低下させる要因となります。特に若いうちから喫煙を始めると、ニコチンの悪影響がより強く現れることが知られています。
禁煙することで、心筋梗塞や脳卒中のリスクを軽減し、肺機能の回復も期待できます。現在は新規の禁煙外来の受付は行っておりません。再開でき次第ご案内させていただきます。