更年期障害について
当院では、更年期障害の治療の一つとして保険適応のプラセンタ治療(メルスモン注射)を行っています。
メルスモン注射は、更年期障害の治療として保険適応がありますが、適応外の方も自費診療にて受けることが可能です。
ご希望の方は、医師までお気軽にご相談ください。
下記の症状でお悩みではないですか?
以下の症状が気になる方は更年期障害かもしれません。
あてはまるものがないかチェックしてみましょう。
- 顔が紅潮する(ほてり)、突然暑くなる(のぼせ)
- 汗をかきやすくなる(寝汗、突然大量の汗をかく)
- 突然動悸がする、胸が苦しくなる
- めまいや立ちくらみが起こりやすくなる
- 疲れやすく、体のだるさが抜けない
- イライラし、怒りっぽくなった
- 急に不安や落ち込みを感じる
- 集中力がなくなり、物忘れも増えた
- ズキズキとした頭痛が頻繁に起こる
- 肩や首のこりがひどくなった
- 関節や体の他の部分が痛む
- 手足が冷えやすく、時にはしびれる
- 夜眠れず、夜中に目が覚めてしまう
- トイレに行く回数が増え、尿漏れも心配
- デリケートゾーンが乾燥してかゆい
- 皮膚が荒れて乾燥し、シミやシワが増えてきた
- 髪が細くなった、抜け毛も増えた
更年期障害とは?
女性は年齢を重ねるにつれ、女性ホルモンを分泌する卵巣の働きが低下し、やがて卵巣は完全に働かなくなります。女性ホルモンの分泌が低下し始めてから、ホルモン不足の状態が安定するまでの期間を「更年期」と呼びます。40歳から60歳頃まで何等かの症状を有することが多いとされます。
「更年期障害」とは、この時期に女性ホルモンの分泌が減少することによって起こる心身の様々な症状を指します。
更年期障害は誰にも必ず起こるわけではなく、更年期を迎えても全く症状が出ない方もいます。
更年期障害の症状
ホットフラッシュ
ホットフラッシュは、「のぼせ」や「ほてり」といった、更年期に起こる代表的な症状です。「のぼせ」は、頭に血が上るような感覚を伴います。毎回決まった時間(仕事に取り掛かる前だけなど)に起こるケースもあれば、何の前触れもなく突然起こるケースもあります。
「ほてり」は、異常に体が熱くなる状態です。突然発汗し、顔が赤くなることもあります。
冷え
自律神経のバランスが崩れると、体温調節がうまくいかず、特に手足が冷えやすくなります。この症状は、更年期に限らず他の時期にも見られることがあります。
肩こり・腰痛・背中の痛み
肩こり・腰痛・背中の痛みは、血流の低下により起こります。
これらは、更年期障害の症状の中でも最も一般的な症状です。
疲労感(疲れやすい)
ホルモンバランスの変化が影響し、疲れやすくなることがあります。
また、更年期は生活環境の変化が多く見られる時期でもあります。例えば、仕事で重要な役職を任されることが増え、家庭ではご家族の介護やお子様の進学、就職などのライフイベントが重なることがあります。このようにストレスが多い時期であるため、更年期の症状と重なって、疲れを感じることが増えるのだとも考えられます。
めまい
更年期障害によるめまいの特徴は、フラフラと船に揺られているような感じがすることです。通常は、しばらく安静にすると改善します。
気分の落ち込み
以上に述べたような身体的な変化は、時に落ち込みの感情に繋がることもあります。「何をしてもうまく行かない」「このままの生活で人生が終わるのか」「将来に何も希望が持てない」などと感じるのは一般的な症状です。
婦人科症状の異常
ホルモンバランスの急激な変化の影響で、不正出血やおりもの、外陰部の痒みなどの婦人科症状が現れることがあります。
このような症状を「更年期だから」と自己判断するのは要注意です。婦人科系の疾患の症状として現れている可能性もありますので、産婦人科の医師の診断を受けることをお勧めします。
排尿のトラブル
尿道や肛門を締める筋肉の力も加齢とともに弱まります。
また、くしゃみや咳など、ちょっとした衝撃で失禁することもあります。これらの症状は骨盤底筋を鍛える運動や薬物療法などで改善できます。
胃腸の不調
胃腸の不調は、自律神経の乱れから起こります。
具体的には、胃痛、胃のもたれ、吐き気、食欲不振、下痢、便秘などがあります。
また、内科や消化器内科で診察を受け、胃腸疾患ではないことを確認することも大切です。
皮膚のかゆみ、手足の痺れ・震え
女性ホルモンの減少により、皮膚のバリア機能が低下して敏感になり、かゆみや湿疹などの症状が現れることがあります。加齢による角層のセラミド減少も、これらの皮膚症状を加速させます。さらに、手足のしびれや震えが起こることもあります。
※これらの疾患以外にも、更年期障害は様々な症状を引き起こします。
更年期障害の症状かもしれないと思われた場合は、上記に挙げたもの以外でも、お気軽に当院にご相談ください。
更年期関節症
閉経前後の女性によく見られる関節のこわばりや痛みのことを更年期関節症と呼びます。特に朝方にこわばりが顕著で、手指の関節が動きにくくなることがあります。
このような症状は、更年期に差し掛かり女性ホルモンが急激に減少することによって起こると考えられています。
主な症状
- 関節の痛み(腫れはほとんどない)
- 朝のこわばり(主に手や指)
- 物を落としやすくなる(握力が低下する)
更年期障害の原因
主に、加齢や更年期に伴う女性ホルモン(エストロゲン)の分泌減少が直接の原因と考えられています。これに加えて、個人の性格や生活習慣、環境なども更年期障害のリスク要因となります。
更年期障害になりやすい人やならない人もいる
更年期障害の症状は、閉経を迎えると誰にでも起こるわけではありません。また、一般的な閉経年齢(45~55歳頃)を外れて、30代後半から更年期障害の症状が出る方もいます。更年期障害の症状が早く現れるケースでは、食事を抜くことがあったり、過度なダイエットで体重を落としたり、不規則な生活や偏った食習慣を続けている方に多い傾向があります。
更年期障害の検査
更年期障害について調べる際には問診が重要ですが、血液検査も有効な診断方法です。血液検査では、女性ホルモン値やコレステロール値、血糖値、肝機能、甲状腺機能などを調べます。その他、尿検査や血圧測定、骨密度測定なども行います。場合によっては、乳房の検査や卵巣・子宮の超音波検査が必要になることもあります。その場合は、当院がご紹介する専門医療機関でこれらの検査をお受けいただけます。
更年期障害の治療法(治し方)
更年期障害の主な原因は、身体的要因(エストロゲンの減少)ですが、その他にも社会的要因や心理的要因などがあります。
問診を十分に行った上で、生活改善を行い、それでも症状に変化が見られない場合は、以下の治療を検討します。
プラセンタ療法(メルスモン注射)
治療に用いられるメルスモンは、ヒトの胎盤(プラセンタ)から抽出したエキスを原料とした医薬品です。
胎盤は、赤ちゃんが胎内にいる間、母体から赤ちゃんに栄養や酸素を届ける働きをしており、タンパク質やアミノ酸、核酸、ビタミンなど多くの成長因子を豊富に含んでいます。そのため日本では更年期障害の治療薬として、50年以上前からプラセンタが使われてきました。
一般的に美容目的に用いられるイメージが強いですが、医療用に使用されるプラセンタ注射薬は厚生労働省から医薬品として認可されています。
当院が使用している「メルスモン」も高い安全性と有効性が認められています。
プラセンタを定期的に注射することで、更年期障害の症状が緩和されることがわかっています。
保険の適応と年齢制限について
メルスモンが保険適用となるには、いくつかの条件を満たさなければなりません。
まず、45~59歳までの女性であることが条件です。
さらに、血液検査や問診などにより更年期障害と診断された場合のみ、保険適用となります。
保険適用となれば、初診で1,000円前後、再診で500~600円前後で治療が受けられます。
※治療効果は個人差がありますが2日~5日間持続します。
※月に15回まで保険適応となります。
漢方薬
一般的には、体力が落ち冷え症で貧血気味の方には「当帰芍薬散」、虚弱体質で疲れやすく、不安や不眠のある方には「加味逍遙散」、体力中等度以上でほてりやホットフラッシュ、下腹部痛のある方には「桂枝茯苓丸」が処方されます。この当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸は婦人科の三大処方として知られています。
当院ではこれらに加え、患者さんの症状や体質に合わせて、幅広い種類の漢方薬を処方することが可能です。
向精神薬
抑うつ、情緒不安定、いらだち、焦燥感、不安感、意欲低下などの心的症状や、不眠などが見られる場合には、向精神薬(抗うつ薬、抗不安薬、催眠鎮静薬など)も効果的です。また、副作用の少ない新しい抗うつ薬である選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)を処方することも可能ですが、心的症状が重い場合には、精神科や心療内科での治療をお勧めすることもあります。
ホルモン補充療法(HRT)
不足した女性ホルモンを外部から補う治療法は、「ホルモン補充療法」と総称されます。この療法は、ホットフラッシュや過剰な発汗といった更年期の症状を和らげる効果が期待できます。医師がホルモン補充療法の適用が必要と判断した場合は、当院がご紹介する専門医療機関にて婦人科癌や乳癌のチェックを受けていただきながら治療を行うことが可能です。
男性の更年期障害
更年期障害は男性にも発症します。
男性の更年期障害は、加齢やストレスなどにより男性ホルモン(テストステロン)が減少することで起こり、医学的な診断名では「LOH(ロー)症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」と呼ばれています。患者数は40代から徐々に増えていく疾患です。
症状としては、気分の落ち込みなどの心的症状、ほてりや動悸などの身体症状、性欲の低下などの性機能症状など多岐にわたります。
女性と男性で更年期障害に違いは?
女性の場合、閉経時に女性ホルモンの分泌が急激に減少する際に更年期障害の症状が現れます。女性の更年期障害の症状は一般的に理解されやすく、症状も明確であり、診断や治療も確立されています。
男性の場合、男性ホルモンの減少は20代から徐々に始まります。そのため、加齢による身体機能の低下と男性更年期障害(LOH症候群)との区別が難しいことがあります。日本における男性更年期障害(LOH症候群)の研究は、まだ20年ほどしか行われていないため、全体像はまだ明らかになっていません。