リウマチではない関節痛
近年では、人間ドックなどでリウマチ因子を調べることも多くなっています。検査でリウマチ因子の異常値を指摘された方は不安に思われるかもしれません。なお、関節の違和感や痛みを引き起こす疾患は数多くあり、ご自分の症状が関節リウマチによるものかどうかを判断するのは難しいものです。
検査結果からリウマチの可能性が疑われる場合や、関節の痛みが続く場合、また、関節リウマチ以外の症状がある場合は、早めに受診して原因を特定することをお勧めします。お気軽に当院へご相談ください。
リウマチと間違えやすい疾患
指先の痛み、しびれ、腫れ、こわばり、可動域の制限、手指の変形などの症状は、様々な要因によって引き起こされる可能性があります。原因となる主な疾患について以下でご説明します。
線維筋痛症
線維筋痛症は、体のあらゆる部位に生じる痛みが3ヶ月以上続く疾患です。痛む部位は全身の広範囲に及び、自然に痛みが和らぐこともあれば、何度も繰り返すこともあります。関節のこわばり、疲労、不眠、頭痛、うつ症状などを伴うことがあり、関節リウマチと間違われることもよくあります。
線維筋痛症の原因はまだ明確には特定されていませんが、脳内の痛みを感知する回路が過剰に反応することが原因ではないかと考えられています。つまり、線維筋痛症の患者さんの場合には、たとえ痛みを感じるような怪我や炎症がない場合でも、軽く触れられたり押されたりしただけで強い痛みを感じることがあります。
また、この疾患のもうひとつの特徴として、レントゲンや血液検査では異常が見られないことが挙げられます。
変形性関節症
関節の軟骨がすり減り、炎症や変形を起こし、痛みや腫れが生じる疾患です。関節に水がたまることもあります。関節のどこにでも起こりますが、体重がかかる脊椎や膝関節、股関節に多く見られ、日常生活にも大きく影響します。初期には関節を動かした時にのみ痛むという程度のため、放置されることが多いようです。筋力の低下や体重の増加により悪化することもあるため、適切な指導を受けることが必要です。
ヘバーデン結節・ブシャール結節(変形性関節症)
関節軟骨のすり減りや、関節周辺の骨の変形によって痛みが生じる疾患です。変形性関節症にはいくつかの種類がありますが、手指の第一関節にできるものをヘバーデン結節、第二関節にできるものをブシャール結節と言います。
更年期障害
更年期、閉経前後に女性ホルモンの乱れにより、手の痛みやこわばりの症状が現れることがあります。
腱鞘炎
手指や手首の腱が炎症を起こし、痛みや腫れが生じる疾患です。激しい運動や手の酷使などが原因と考えられます。
手根管症候群
手首の正中神経が圧迫されることで、手にしびれや痛みが生じる疾患です。手首の反復運動(タイピングやマウス操作など)や、長時間のデスクワークなどが原因と考えられます。
関節炎
手関節の炎症により、関節のこわばり、腫れ、痛みを誘発することがあります。関節リウマチや膠原病などがこの疾患の代表的な例です。
脱臼や骨折
けがにより指、手首、手の骨が脱臼したり骨折したりすると、激しい痛みが生じることがあります。
神経障害
手の神経に損傷があると、痛みやしびれの原因となることがあります。手の神経の損傷は、糖尿病や神経疾患などと関連があります。
腫瘍や嚢胞
腫瘍および嚢胞が手に発症し、痛みや腫れの原因となります。腫瘍には良性と悪性があります。
感染症
手の皮膚や組織が細菌や真菌に感染すると、腫れや痛みを誘発することがあります。
テニス肘・ゴルフ肘
過度な負担により手首や腕の筋肉や腱が炎症を起こすと痛みが生じます。テニスやゴルフをする方だけでなく、手首や腕を酷使する職業の方にも起こります。
リウマチではない関節痛の治療
上記に挙げた疾患は、関節リウマチと症状が似ている部分もありますが、その他の症状や治療方法に違いがあります。関節リウマチの場合は、軟骨や骨が徐々に破壊され、変形が進行していきます。
症状が続くようでしたら、原因を特定するために当院にご相談ください。原因に応じた適切な治療を行うことで、症状の改善や重症化の予防に繋げることができます。
当院のリウマチ科について
当院では、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医の資格を持つ院長が治療を担当しています。
問診で症状などについて詳しくお聞きし、関節超音波検査や血液検査で原因を特定します。関節の痛みでお悩みの方は、お気軽に当院へご相談ください。