関節リウマチとは
関節リウマチは、免疫反応の異常により関節の滑膜に炎症が起こり、腫れや痛みを引き起こす疾患です。治療せずに放置すると、関節の破壊、変形、機能障害へと進行する可能性があります。
主に手や足の関節に発症しますが、内臓に影響を及ぼすこともあります。
関節リウマチの症状
関節リウマチは、関節に炎症が起こり、軟骨や骨が破壊され、関節の機能が低下し、放置すると関節が変形する疾患です。
関節リウマチが他の関節疾患と大きく異なる点は、腫れや強い痛みが生じ、関節を動かしていないときにも痛みが生じる点です。
また、手足の関節に起こりやすいですが、肩や膝、背骨などあらゆる関節に痛みを起こします。体幹に近い関節では腫れが目立ちにくく気づかれにくいことが多くあります。
その他、発熱、倦怠感、食欲不振などの全身症状や、関節の炎症が全身に広がり、肺や血管に影響を及ぼすこともあります。
関節リウマチの初期症状
朝のこわばり
- 朝起きてすぐは手が開かない、体が動かない。起床後30分ほどで症状は消失する
関節の痛みや腫れ
- 熱を伴って関節が痛くなったり、腫れたりする
- 左右対称に関節の痛みや腫れが現れる
- 同時に多くの関節が腫れる
微熱、倦怠感、食欲不振
- 微熱(37℃台)、倦怠感、食欲不振が長期化する
関節リウマチのセルフチェック
- パジャマのボタンの開閉が難しい
- ドアの取っ手を回すのが難しい
- 扉のカギを開けるのが難しい
- 靴ひもやリボンを結ぶのが難しい
- 歯ブラシを持つのが難しい
- はさみを使うのが難しい
- コーヒー、お茶などの蓋を開けるのが難しい
- ホッチキスを使うのが難しい
- テレビなどのリモコンのボタンを押すのが難しい
- お箸を正しく使うのが難しい
- 朝食を作る際に、動作に違和感を覚える
関節リウマチの原因
関節リウマチの原因は完全には解明されていません。
人間の体には、細菌やウイルスなどの外敵から体を守る仕組み(免疫システム)があります。このシステムが誤作動を起こすと、関節や骨、軟骨を守る組織を外敵と間違えて攻撃し、破壊してしまいます。この免疫システムの異常を自己免疫といい、関節に起こす自己免疫疾患を関節リウマチといいます。
原因は未解明ですが、遺伝的素因や細菌やウイルス感染、過労やストレス、喫煙、出産や怪我など様々な要素が重なり合って発症するのではないかといわれています。
関節リウマチは家系内で発症することもありますが、一般的には遺伝性は強くないと言われています。
関節リウマチになりやすい人
関節リウマチは女性に発症する可能性が高く、30~50代にかけての発症が多くみられます。日本における関節リウマチの患者数は70~100万人と推定され、毎年約1万5千人が新たに発症しています。人口に占める割合は0.5~1.0%で、地域による差はあまりなく、海外でも同様と考えられています。
関節リウマチの検査
問診・触診
問診では、どの関節から痛みや腫れが始まったか、どの程度痛むか、朝起きた時に関節がこわばっているか、その他全身の状態についてお伺いします。また、過去にかかった疾患についてもお伺いします。
触診では、医師が手で指、肘、足指、膝の関節を診察します。これにより、関節に炎症があるかどうか、またその程度を確認します。その際、靴と靴下を脱いでいただく場合があります。
血液検査
血液検査と尿検査は、関節リウマチの進行状況や肝臓・腎臓の機能を評価するために行います。血液検査では、以下の項目が確認できます。
RF(リウマトイド因子) | リウマチ反応とも呼ばれ、血液中にリウマトイド因子と呼ばれるタンパク質が存在するかどうかを調べる検査です。ただし、他の疾患でも陽性になることがあり、リウマトイド因子の有無だけでは、関節リウマチであるかどうかを判断することはできません。 |
---|---|
抗CCP抗体(抗環状シトルリン化ペプチド抗体) | 関節リウマチを診察する検査です。初期から陽性になるため、早期診断に役立つと言われています。ただし、関節リウマチでも陰性になることがあります。 |
MMP-3(マトリックスメタロプロテアーゼ-3) | MMP-3は軟骨成分を分解する酵素です。関節リウマチの病勢を判定するための検査です。使用する薬剤の影響で高くなることがあります。 |
赤沈(赤血球沈降速度、血沈ともいう) | 炎症の進行度を調べる検査です。ただし、貧血など関節リウマチ以外の理由でも赤沈の値は高くなることがあります。 |
CRP (C反応性タンパク) |
炎症の程度を調べる検査です。ただし風邪など、他の理由でもCRPは高くなることがあります。 |
画像検査
レントゲン検査
一般的な画像検査です。関節や骨の状態を調べるためにX線を使用してレントゲン撮影を行います。早期にはレントゲンでは変化が現れないこともあるため、他の検査と合わせて判断することが重要です。
MRI検査
MRI検査では骨の状態を高い感度で観察でき、関節周辺の滑膜や筋肉、靭帯などの骨以外の組織の炎症や腫れ、軟骨の状態などを幅広く調べることができます。
関節リウマチの早期変化を評価するのに有用な検査です。また、関節リウマチ以外の原因が考えられる際にも有用な検査の一つです。
医師がMRIの必要性を判断した場合は、当院がご紹介する連携医療機関にて、スムーズに検査をお受けいただけます。
関節超音波(エコー)検査
関節に起こっている炎症をリアルタイムで確認でき、骨破壊の検出にも感度が高い検査です。関節内の血流や滑膜の厚さなども確認できるため、関節リウマチの活動性の評価にも有用です。当院では関節超音波検査を併用しながら診断および治療を行っております。
関節リウマチの治療(治し方)
関節リウマチの治療では、早期に適切な対応を行うことが重要です。
主な治療法は薬物療法であり、抗リウマチ薬や非ステロイド性消炎鎮痛剤が基本となります。さらに、症状に応じてステロイド薬や免疫抑制剤、生物学的製剤が使用されることもあります。補助的な治療として、ステロイド薬やヒアルロン酸製剤を関節内に注射することもあります。また、リハビリテーションや理学療法を取り入れることで、症状の改善が期待できます。
関節リウマチは多くの場合、比較的軽度であり、症状は手足にとどまることが多いですが、炎症が進行すると全身の関節に影響を及ぼすことがあります。重症化した場合、最終的に関節や脊椎の手術が必要になることもあります。また、指の中央にある腱(仲筋腱)が断裂するケースもあり、その際には手術も必要となります。
関節リウマチで
食べてはいけないもの
高血圧、脂質異常症、糖尿病などの疾患がなければ、食事制限は特に必要ありません。むしろ重要なのは、骨粗鬆症や筋肉減少、体脂肪増加を予防することです。
「栄養を摂らなければ」と思っても、炭水化物(白米、パン、お菓子、ジュースなど)や脂肪(牛乳、脂身の多い肉など)の摂り過ぎには注意が必要です。
体重が増えると関節に負担がかかり、痛みが生じやすくなります。
牛乳はカルシウムやタンパク質の優れた供給源です。しかし、牛乳を飲み過ぎると脂肪の取り過ぎにもなるので、普通牛乳よりも低脂肪乳や無脂肪乳がお勧めです。