寒いと手指・足指の先が白・紫になる(レイノー現象) Raynaud

下記の症状でお悩みの方へ

  • 冷たいものに触れると、指先や足先が急に白くなる
  • 寒い場所にいると、指先や足先が急に白くなる
  • 緊張すると、指先が急に白くなる
  • 指先や足先の色が白から紫、赤と変化する

など

寒暖差によって指が白くなったり、紫色になったりするなどの症状が現れた場合は、レイノー現象の可能性もありますので、ぜひ当院にご相談ください。

レイノー現象とは

レイノー現象レイノー現象では、寒冷刺激などにより発作的に指先の細い血管が痙攣し血液の流れが悪くなることで、手足の指が突然青白くなります。冷え性との見極めが難しいこともありますが指先の色調が何種類かに変化することが特徴です。
レイノー現象が重度の場合は血流障害により指先に傷(潰瘍)を引き起こすことがありますが、膠原病の一つの症状として出現することもあります。レイノー病と診断された後に他の疾患が見つかるケースもあるため、注意が必要です。

レイノー現象の症状

レイノー現象突然、手足の指が青白くなります。その際、指先のしびれ、冷え、痛み、感覚の鈍麻が起こることもあります。数分後には、酸素不足によるチアノーゼにより、指が赤紫色になります。次に、酸素不足を補うために血管が拡張し、皮膚が赤くなり、やがて元に戻ります。
この疾患は手足の指先に起こることが多いですが、あたためると元に戻るため発見されにくいことが特徴です。重症の方は慢性的な血流の悪化により傷(潰瘍)になったり、腐ってしまう(壊疽)ことがあります。

レイノー現象の原因

レイノー現象の原因には多様なものがあり、寒冷刺激や喫煙、精神的ストレスが原因となることが多いと考えられています。原因が不明な「原発性レイノー現象(レイノー病)」と、基礎疾患に伴って起こる二次性の「続発性レイノー現象」に分けられます。

原発性のレイノー現象(レイノー病)

レイノー現象は発生しますが、基礎疾患はなく、原因は明確にわからない状態です。生活習慣の改善や血管拡張薬などを服用することで症状が軽くなることがあります。

二次性レイノー現象

二次性レイノー現象は、基礎疾患の一つの症状として引き起こされます。基礎疾患の治療と合わせて治療を行うことが必要です。

膠原病

レイノー現象のある方のうち、30~60%が膠原病に罹患しています。
特に全身性強皮症や混合性結合性組織病が多く、加えて全身性エリテマトーデス、多発性筋炎・皮膚筋炎、シェーグレン症候群の患者さんにもレイノー現象は見られることがあります。

閉塞性血管疾患

レイノー現象は閉塞性血管疾患によって引き起こされることもあります。
主な原因としては、バージャー病、閉塞性動脈硬化症、胸郭出口症候群、クリオグロブリン血症、マクログロブリン血症などがあります。

職業性のもの

チェーンソーなど強い振動を与える工具を日常的に使用する方や、パソコンの入力作業が中心の方などは、レイノー現象が起こりやすいと言われています。

薬剤によるもの

レイノー現象は、一部の高血圧や不整脈などの治療薬や一部の抗がん剤によって引き起こされることもあります。

膠原病とレイノー現象の
関係は?

レイノー現象は、血管を拡張させることができなくなり、指先や足先の末梢血管の血流が悪くなり、血液が十分に行き渡らなくなることで起こると考えられています。

強皮症

強皮症には全身性強皮症と限局性強皮症があります。限局性は皮膚のみに影響し、内臓への影響はありません。一方、全身性強皮症は皮膚と内臓が硬くなります。30~50歳代の女性に多く、日本の患者数は2万人以上とされています。
初期症状としてレイノー現象が起こり、手指の腫れやこわばりが現れます。爪の甘皮に黒い出血点や、指先に傷や潰瘍ができることもあります。進行すると皮膚の硬化が手や腕、体幹へ広がります。
また、肺の病変では空咳や息苦しさ、腎臓では高血圧、食道下部では胃酸の逆流が生じます。手指の屈曲拘縮や関節痛を伴うこともあります。
完治療法はなく、症状に応じて副腎皮質ステロイドの少量内服や、肺の病変にはシクロフォスファミドなどの薬物療法が行われます。

全身エリテマトーデス

男女比1:9で女性(特に20~40歳)に多く、日本の患者数は6~10万人と推定されています。全身のあらゆる臓器に影響を及ぼすのが特徴です。
初期症状は発熱、倦怠感、関節痛などです。蝶形紅斑は必ずしも現れませんが、診断の手がかりになります。その他に光線過敏症、口腔内潰瘍、脱毛が見られることがあります。潰瘍は一般的な口内炎とは異なり、痛みがなく、口の中の上あごなどに多く見られます。症状や重症度、経過にも個人差があります。
治療には免疫抑制作用のある副腎皮質ステロイドを用い、徐々に減らしながら長期的に服用します。重症例では、点滴によるステロイド大量投与を行うことがあります。効果が不十分または副作用が強い場合、免疫抑制薬を併用することもあります。

シェーグレン症候群

男女比1:17で女性に多く、全年齢で発症しますが、50歳代がピークとされます。
関節リウマチの約20%に合併し、日本の患者数は10~30万人と推定されています。膠原病の中では比較的軽症で、気付かないまま過ごす方もいます。
目や口の乾燥が主な症状で、ドライアイでは涙が少なく、目の異物感、かゆみ、痛みが生じます。ドライマウスでは唾液が減り、口が渇いて虫歯が増えたり、乾燥した食品が食べにくくなったりします。鼻腔や腟の乾燥が起こることもあります。さらに関節痛、レイノー現象、発熱、強い疲労感が見られることもあります。
治療は対症療法が中心で、点眼薬、口腔ケア、人工唾液などを用いて乾燥症状を緩和します。

レイノー現象の検査・診断

問診レイノー現象の診断には問診と身体診察が行われます。
ご自身でレイノー現象がご心配になられた際にはお持ちの携帯電話などで何枚か写真を撮っていただけたら参考にさせていただきます。他の症状の有無や、病歴、家族歴などから、基礎疾患に基づくものかを調べます。

レイノー現象の
治療方法(治し方)

レイノー現象は、寒冷刺激や喫煙によって誘発されたり悪化したりしますので、まずはこれらの要因を避けるための生活指導を徹底します。
続いて、血管拡張薬や抗血小板薬を主体とした薬物療法を行います。レイノー現象が膠原病によって誘発されている場合は、まずは膠原病に対する治療をしっかりと行うことが重要です。