リウマトイド因子(RF値)とは?
リウマトイド因子(RF値)は、血液検査でわかる数値のひとつです。
リウマトイド因子(RF値)は、体の中にある「免疫グロブリン」というたんぱく質の一種です。免疫グロブリンは、体を守る働きをするもので、IgG・IgA・IgM・IgD・IgEの5種類があります。その中で、RFはIgGという免疫グロブリンをターゲットにした特別な抗体です。
本来、免疫は体の外から入ってきたウイルスや細菌を攻撃します。しかし、RFは自分の体の一部(IgG)を敵だと認識してしまう自己抗体のひとつです。だからといって、RFが関節リウマチの原因になるわけではありません。ただ、RFが高いと関節リウマチをはじめとする病気の可能性があるため、診断や経過をみるための検査として使われます。
また、RFにはIgG型やIgA型などいくつか種類がありますが、一般的な血液検査で測るRFはIgM型です(IgG型RFを調べる検査も別にあります)。
関節リウマチとは
関節リウマチとは、関節の一部である滑膜に起こった炎症により軟骨や骨が破壊され、関節の機能が衰える疾患です。この状態を治療せず放置すると、やがては関節の変形にも繋がります。
その他の関節の疾患とは異なり、腫れや強い痛みを伴い、関節を動かしていない時でも痛むのが特徴です。手や足の関節に起こりやすいのですが、肩や膝などにも起こします。若年女性に多い傾向はありますが、男性にもご高齢の方にも起こすことがあります。
リウマトイド因子(RF値)の基準値
通常、RF値の基準範囲は15IU/mL以下と定義されています。
この値を超えると「高値」と判断されますが、わずかに上昇している場合など、多少の高値では必ずしも疾患があるとは限りません。
リウマトイド因子(RF値)の数値が高値だった
リウマトイド因子(RF)検査は、関節リウマチを検出するのに比較的有用な、感度の高い検査ですが、RFの高値は必ずしも関節リウマチを意味するわけではありません。これは検査の特異度が比較的低いため、関節リウマチではない場合でも陽性と誤って診断される可能性があるためです。実際、他の自己免疫疾患、肝疾患、感染症などでも陽性になることがあります。そのため、診断にはRF値だけでなく、他の検査や症状も確認することが重要です。
陽性となる病気
自己免疫疾患
- 関節リウマチ
- シェーグレン症候群
- 全身性エリテマトーデス
- 全身性強皮症
- 血管炎症候群
感染症
- 感染性心内膜炎
- 梅毒
- B型肝炎
- C型肝炎
- HIV
- 結核
他疾患
- 肝硬変
- クリオグロブリン血症
- 原発性胆汁性胆管炎
解釈の注意点
健康な方の5~25%がRF検査で陽性になると言われています。つまり、RF陽性であることが必ずしも関節リウマチや自己免疫疾患を意味するわけではありません。RF検査で陽性反応が出る原因となっている感染症を鑑別することが特に重要です。
リウマトイド因子が高く要精密検査と言われたら?
RF値が高いと、医師から精密検査を受けるように言われることがあります。
関節リウマチは早期発見・早期治療により、関節の障害を予防することが容易になります。そのため関節の痛みや腫れなどの症状がなくても、精密検査を受けることは大切です。また、その他の疾患が隠れている可能性もありますので、医師の指示に従って精密検査を受けるようにしてください。
何科を受診すればいい?
RF値が高い場合は、まずリウマチ科や膠原病内科を受診されることをお勧めします。これらの診療科では、関節リウマチなどの自己免疫疾患の専門的な検査や診断を行っています。当院でも検査や診断を行っていますので、お気軽にご相談ください。
リウマトイド因子(Rf値)が陽性ならリウマチ?
リウマトイド因子(RF値)が高くても、手や足に痛みや腫れがない場合は、関節リウマチではないことが多いので、あまりご心配は要りません。また、数値が高いほど重症というわけではありません。
手や足に痛みがある場合はリウマチも疑われるため、一度当院へご相談ください。
リウマチ因子を下げるには?
リウマトイド因子(RF値)が高くても、すぐに治療を開始しなければならないというわけではありません。しかし、生活習慣を改善して関節リウマチの発症リスクを下げることは重要です。
禁煙をする
環境因子の中でも、喫煙はリウマトイド因子(RF値)との関係が最も明確に定義されています。過去に喫煙歴のある方や現在喫煙中の方は、リウマトイド因子の検査で陽性となる可能性が高く、関節リウマチを発症するリスクも高いことが研究により示されています。
男性では約2~3倍、女性では約1.2~1.3倍の発症率であることが報告されています。禁煙はリウマチのリスクを減らすだけでなく、健康全般にも良い影響があります。
生活習慣の改善
禁煙に加えて、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠などを習慣づけることも重要です。また、ストレスをためないことも免疫系のバランス調整に効果的です。